アスベストは過去に多くの建材に使用されていた素材であり、危険性が明らかになった現在において、解体工事やリフォーム作業中に、アスベストが含まれているかどうか判断する必要があります。
しかし、アスベストは見た目では分かりづらく、誤って触れると健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。本コラムでは、素人でも分かるアスベストを見分ける方法を解説します。目安として参考にしていただければ幸いですが、確実な判断は必ず専門業者に依頼しましょう。
素人ができる簡単な見分け方
アスベストの判断は専門業者に任せるべきですが、以下の方法で大まかな判断をすることができます。ただし、これらの方法でも「絶対に安全」とは言えないため、最終的な判断はプロに依頼してください。
1.建築年代を確認する
まず、建物の築年数を確認しましょう。特に1980年代以前の建物にはアスベストが使用されている可能性が高いです。そのため、古い建材が使用されているかどうかを確認し、該当する場合はアスベストのリスクを考慮する必要があります。
2.外見での判断
アスベストは肉眼での判断が難しいですが、吹き付け材やボード類など、特定の形状で使われていることが多いです。吹き付け材は粗い質感で、白や灰色の粉状のものが多いです。一方、ボード類は表面が滑らかでありながら、破れた断面が繊維状になっている場合があります。しかし、これだけでアスベストの有無を断定することはできません。
3.ラベルや製品情報の確認
建材や製品にはラベルが貼られていることがあります。製品にアスベストの含有について記載があるか確認し、情報が不明な場合は使用しない方が安全です。特に、古い製品やラベルが剥がれている場合は、危険性を疑うべきです。
4.リスクの高い場所を把握する
アスベストは、特に建物の天井や壁、床下、ボイラー室、配管周りなどに使用されることが多いです。これらの箇所をチェックし、怪しい素材が使用されている場合は注意が必要です。
アスベストが使用されている可能性が高いもの
アスベストが使用されている可能性がある建材や製品には、以下のようなものがあります。これらは特に1980年代以前の建物で見られることが多いです。
1.吹き付けアスベスト
天井や壁、柱などに耐火や断熱の目的で使用されました。見た目は粗い質感で、白や灰色の粉状になっていることがあります。肉眼では判断が難しいため、調査が必要です。
2.アスベストスレート(石綿スレート)屋根材
耐久性があり、屋根や外壁に使用されました。薄い板状で灰色や黒っぽい色が多く、ひび割れや破損があると繊維が露出する危険性があります。
3.アスベスト入りボード(建材ボード)
内装材として使われるボード類で、主に壁や天井に使用されました。表面は滑らかですが、断面が繊維状になっていることがあります。
4.パイプ被覆材
ボイラーや配管の断熱材として使用されました。白い綿のような外観をしており、劣化すると繊維が飛散しやすくなります。
5.ビニル床材(アスベスト含有床タイル)
耐久性が高く、商業施設やオフィスビルの床材として使われました。見た目では区別がつかないため、疑わしい場合は調査が必要です。
6.耐火被覆材
耐火性能を高めるために柱や梁に吹き付けられたものです。粉っぽい質感で、軽く触ると崩れる場合があります。
7.シーリング材や接着剤
建物の継ぎ目や窓枠の隙間などに使用され、固まった状態ではわかりづらいですが、劣化すると粉末状になることがあります。
これらの製品は見た目だけでは判断が難しく、アスベストが含まれているかどうかを確実に知るためには、専門の業者による調査が必要です。作業中に発見した場合は触れずに、そのままの状態で専門業者に確認してもらうことが重要です。
アスベストが疑われる場合の対策
もしアスベストが含まれている可能性がある場合、以下の対策を行いましょう。
1.触らない・動かさない
アスベストは触れたり動かしたりすることで繊維が飛散する恐れがあります。疑わしい場合は、絶対に手を触れず、そのままの状態で専門業者に相談してください。
2.専門業者に依頼する
アスベストの調査や除去は専門業者が行うべき作業です。自分で判断せず、必ず資格を持った専門業者に検査と対応を依頼しましょう。業者は専用の機器を用いて検査を行い、安全にアスベストの有無を確認できます。
3.報告書や調査結果を確認する
調査結果は書面で受け取り、具体的な場所や対策方法について確認してください。業者の信頼性も重要で、認可を受けた業者に依頼することが安心です。
まとめ
アスベストは建物に潜む見えないリスクです。素人でもある程度の判断は可能ですが、最終的な対応は必ず専門家に任せることが大切です。日々の作業で安全に留意し、アスベストに対する知識を深めることで、さらなる安全性を確立することができます。専門的なサポートが必要な場合は、独自で対応するのではなく、信頼できる業者に対応を依頼することを心がけましょう。